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投票立会人を経験した

日曜日に
参議院選挙の期日前投票の立会人を経験した。
投票所が開かれているは午前8時半から午後8時までで
午後2時で前半と後半のスタッフが交代する仕組みになっていた。
投票管理者と投票管理者職務代理者だけは12時間通しだそうだ。
私は後半の立会人を務めた。

立会人以外は市職員なのだが、
私の住んでいるまちでは、期日前投票の従事は
基本的に半日単位の代休で半日未満の分だけが時間外勤務手当なのだそうだ。
私は半日で1万円ほどの報酬を頂ける。

半日座っているだけで1万円はオイシイという気がしないではないが、
実際、半日座っていること自体がそれほど楽なことでもないし、
挙動不審な人も時折あり、かなり疲れる。
スーパーのレジより楽そうにみえるスタッフも
決して楽ではない。
実際、アルバイトでは務まらないだろうと思う。


たとえば
期日前投票するには
投票日当日に投票に行けない理由を宣誓書に記入しなければならない。
期日前投票が認められる理由は
仕事、冠婚葬祭、地域行事、旅行など限られているのだが、
高齢者などであれば「今日ならば知人が乗せてくれたので」と繰り返すばかりの人や
「脚が悪いので当日は行けないので今日来た。」という人など意外に多かった。
こうなると
大人の会話を交わして
「当日は旅行に行く」とか
そういう理由を思い出していただく必要があるわけだが、
さすがに市職員の対応は見事だ。
それでも、「脚が悪くて当日は行けないので今日来た。」と繰り返すばかりの人もいて、
そう簡単ではない。
しかも一人に手間取ると順番待ちの人が増えていく。

「脚が悪くて当日は行けないので今日来た。」の場合、
本来は期日前投票の対象にはならないので、
期日前投票が認められる理由を思い出していただく必要があるわけだ。
ところが、
宣誓書に列挙された理由の3番目に
「疾病、負傷、出産、身体障害等のため歩行困難 」という項目があり、
これに〇をつけて
職員の話を聞こうとしない例が多い。
ある程度お話して無理だと思えば
お帰りいただくわけにもいかず、
所詮は本人が宣誓するわけで
それで通すしかない。
特に混み合っている時ならなおさらだということだ。

また、受付の係、パソコンで処理する係、選挙区の投票用紙を渡す係、比例の投票用紙を渡す係という具合に4人のスタッフが必要だが、4人ちょうどしか配置されておらず、混み合ってくると大変だ。

中には車椅子の方も来るわけだが、ボランティア(?)が車椅子を押してきたり、家族が押して来たりする。これも意外に多い。これは、当日の投票所が車椅子でアクセスし難いことや天候の良い日に来るなどで結構期日前投票では車椅子やシニアカーのまま入ってくる人が多いのだそうだ。
それで、職員以外の人が車椅子を押すと投票干渉(特定候補者を書かせようとすること)が懸念されるので、職員が車椅子を押すのだそうだ。ところが、ギリギリの人数配置なので、そこに一人とられるとなかなか大変そうだが、立会人や管理者は手出しできないのだそうだ(管理者は手伝ってもいいように思うが、そこはその管理者の考え方なのかもしれない)。

驚いたのは、メモか何かを見ている人が高齢者に多いことだった。
メモをみるのはギリギリOKなのだそうだ。自作のメモはOKで他人が渡したメモや印刷物はダメだとうことだが、自作か自作でないないか判断し難いし、積極的には対応し難いそうだ。
実際、高齢者のなかには自分が何をしにきたのかわかってない人も多くて、記載台の前で投票用紙を眺めて時間が過ぎていく人が、半日のうちに何人かみられた。正直なところ、あの高齢者に1票が与えられているなら小学生に1票与えられても決しておかしくないと思った。大方は、選挙区の場合、ここの3人から1人を選ぶように説明してあげると何かを書いて投票していたが、実際、何を書いているのか、わかったものではないという様子だった。これが比例区だと投票記載台に候補者や政党の名前が掲示されているが、高齢者にはあの大きさの文字が見えないこともあるだろし、一体何を書いているか、わかったものではない。しかし、公民権は同じように与えられているわけだから、原則的には平等に行使されるべきだろう。そういえば、被成年後見人にも投票権を認める判決が下りているが、そんな判決を下した裁判官は投票所の風景をわかっているのだろうか。

何よりも驚きは
比例区の仕組みをわかっていない人が結構多いことだ。
政党名だけだと思っている人が意外に多い。
これは、現行の衆議院選挙の仕組みと混同して、混乱していることが原因らしい。
衆参同時選挙だと多分かなり混乱することだろう。
そもそも私は現行の衆議院選挙の仕組みには全くおかしいと思っている。
衆議院選挙は中選挙区に戻すべきだ。たとえば自民党議員同士が選挙区内で論戦を繰り返す仕組みがいいと思う。
実際、仮に衆参同時だと5枚の投票用紙に記載しなければならず、投票者もかなり混乱するだろうと思う。また、投票箱も5つ要るわけで、会場の確保やレイアウトも大変だろう。

最後になるが、投票記載台で立ち尽くす高齢者の1票、明日を夢見る18歳の1票、どちらも同じ1票だ。そこに民主主義の奥深さがある。
英国のEU離脱の国民投票も、年齢別に分析すれば若年層では残留派が優勢だが、ああいう結果になった。自分の持つ1票は責任をもって行使しなければならない。
by japan-current | 2016-06-28 06:42 | 国民主権

胸を張って「BMIは22です」と言えるまでの徒然草。「japan current」とは「黒潮(日本海流)」のことですが、「日本の今」という意味合いをあわせて用いています。


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