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住民ニーズに推された市町村の逆襲

 福島県の川内村で村営塾を開くそうだ。
 多分、村に一つしかない学校と別に塾をつくるのか。別の機構、別の要員をかまえなければならないのか。そこに問題があるだろう。
 多分、県教委が学校の充実強化を了解しなかったのだろう。また県教委は文科省のお達しに照らして回答したのだろう。ならば、特区制度を活用しろという話なのだろうけれど、特区といっても村には特区制度を活用する力もなければ、特区にしても結局県教委の指揮下にある。
 それなら、塾を作った方が簡単だし、柔軟に対応できる。もしかしたら、計算したら思ったよりも安かったのかもしれない。でも、9百万円という塾の運営経費は小さな村にとって決して小さいものではないだろう。
 いずれにしても、公教育の供給者が名目上は市町村であるが、実際は都道府県であり、国であることが図らずも明らかになった事例だろう。
 また、住民ニーズに推された市町村の逆襲、教育制度に対する止むに止まれぬ反乱でもあるだろう。

以下exciteから引用です。
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<村営塾>
都会っ子に学力負けぬよう 福島・川内村が開設へ
[ 02月16日 03時01分 ] 毎日新聞

 阿武隈山地の過疎地に位置する福島県川内村が新年度、全国的にも珍しい「村営塾」を開設する。村には塾がなく、塾通いには車で片道30分以上かけて送り迎えせざるを得ない「教育過疎地域」。小中学生を対象に、放課後や週末に民間学習塾の講師から授業を受け、都市部の子どもと対抗できるよう学力向上を図る。遠藤雄幸村長(52)は「教育に地域間格差はある。地域が金を出すことは必要だ。学力向上を徹底して格差をぶち破りたい」と意気込む。

 川内村は人口約3200人で、村立の小学校(児童114人)と中学校(生徒93人)が1校ずつある。中学卒業まで同じ顔触れで生活するため「競争意識に欠けているところがある」(猪狩貢教育課長)のが悩み。中学生数人が保護者の送迎で隣接する町の塾に通うが、共通テストなどで県平均を下回っており学力向上が課題だという。

 「村営塾」では、小学5、6年生は国語と算数を週1日計2コマ(1コマは50分)、中学1、2年生は英語と数学を週2日4コマ、中学3年生は英語、数学、国語、社会、理科を週2日6コマ学ぶ。夏休みなど長期休暇中も行い、5年間通じての学習時間は、計1006コマになる。教室は「親や子どもの意識を変えるため」に、あえて学校ではなく、村役場の隣のコミュニティーセンターを使う。学習レベルにあったカリキュラムで学び、インターネットや衛星通信などのシステムも活用する。

 参加は希望制で、個人負担は月1000~2000円。村は新年度予算案に事業費として約900万円を計上し、村議会に提案する。委託する学習塾は近隣市から年度内に選定するが、学力が向上しなかった場合には変更も検討する。

 同村に唯一ある県立高校分校は生徒が減少して統廃合が取りざたされており、廃校となれば「村の生徒たち」と他市町村の生徒との受験競争が激しくなる恐れもある。遠藤村長は福島大教育学部卒で、卒論のテーマは「へき地と都市部の学力差の生じる要因」。それだけに「学力を担保するのは学校という考えは変わらないが、地域としてさらにしっかりサポートし、教育環境を変えてあげたい」と話している。【佐藤敬一】

 ◇本来は学校の役割

 ▽葉養(はよう)正明・東京学芸大学教授(教育政策論)の話 現行の学習指導要領で授業時間数が大幅に減っていることからすれば、川内村のような動きが出てくるのも仕方がない面がある。現在の日本社会は学力競争が激しくなって、地域間の教育格差を生んでいる。都市部に比べて、私学も塾も少ないというハンディを負っている地方からすれば、自力で何とかしなければと考えるのは自然な流れだ。だが本来は義務教育段階における学力保障は学校がすべきものだ。意欲のある自治体とそうでない自治体で学力の水準が違ってくるのでは望ましくない。

Excite エキサイト : 社会ニュース
by japan-current | 2007-02-16 04:52 | ニュース

胸を張って「BMIは22です」と言えるまでの徒然草。「japan current」とは「黒潮(日本海流)」のことですが、「日本の今」という意味合いをあわせて用いています。


by Japan-current